イノベーション

ビバテック2023

Par Kimiko Imai
CEO | Sineora

第7回ビバ・テクノロジーは、昨年を6万人近く上回る来場者数を記録し、来年1月にラスベガスで開催されるCESに先駆け、イノベーションとスタートアップに特化したグローバルイベントとなりました。今年は日本勢がやや控えめな印象でしたが、他のアジア諸国は非常に積極的で、パキスタンまでもがブースを構えるほど。昨年のインドに続き、今年は韓国が「カントリー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。

出展は控えめでも、イノベーションに関する最新トレンドに触れられる理想的な機会であるビバ・テクには、日本からも多くの起業家や投資家が駆けつけました。

11月16日に東京・渋谷で開催される「成長産業カンファレンス 2023」https://growth.forstartups.com/ や、今年の2月に注目を集めた東京都の「「Sustainable High City Tech Tokyo (SusHi Tech Tokyo) 」の2024年版5月開催の話題がシェアされました。https://city-tech.tokyo/

誰もが認める、このイノベーションの殿堂で熱狂に浸らせてくださったLVMHグループ、そして、今回の最新ビバテックについてわかりやすく解説してくださったShineora CEOの今井公子氏に感謝申し上げます。ありがとうございました。

以下、Sineora CEO今井公子氏による、ビバテックと日本のスタートアップに関する解説です。ぜひご一読ください。

まずはビバテックのハイライトをお願いします。

15万人の来場者、2800社の出展者、SNS上の9億ものコントクト、さらには、エマニュエル・マクロン大統領やイーロン・マスク、セールスフォースCEOのマーク・ベニオフ、MetaのチーフAIサイエンティストのヤン・ルカンといった錚々たる顔ぶれの登壇者たち。ビバテックはもはやヨーロッパのみならず、世界的なイベントになりました。多くの大企業が有望なスタートアップを連れて参加したほか、CMA CGMやInvest Saudiなどといった新たな企業の姿も見られました。

ビバテックは今回、人工知能や気候テック、エネルギー、多様性とインクルージョン、そしてスポーツテックなど多岐にわたるテーマを取り上げましたが、なかでも、中心的役割を果たしたのがジェネレーティブAI(生成AI)でした。多くの人々がこのテクノロジーを警戒していますが、実際のアプリケーションを紹介し、有用なスタートアップにスポットライトを当てることで、ビバテックはAIのイメージ回復を図り、同時にその認知度を上げていくことに取り組んでいます。

日本のスタートアップはいかがでしたか?

今年は、日本のJ―Startupパビリオンこそありませんでしたが、ICOMA(駐車スペースが不要でエネルギー源としても利用可能な折りたたみ自転車)やRUN.EDGE(スポーツ界におけるコミュニケーションの仕方を変えるための動画検索分析を提供するSaaS企業)、また、環境問題の解決に取り組む3DOM Allianceといった、日本発のスタートアップの参加も見られました。

日本へのアドバイスやご意見は?

昨年のインドに続き、韓国は今年「カントリー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。今回ビバテックに参加した韓国代表団は、実に150社ものスタートアップから成っており、Lee Young中小企業・スタートアップ担当大臣の指揮のもと、韓国のイノベーションの豊かさと多様性を示しました。日本勢も、一刻も早く参加してほしいと思います。

経済産業省は今後5年間で多数のスタートアップを生み出す計画ですが、その点についてどのようにお考えですか?

日本は、スタートアップのエコシステムという点で遅れを取り戻す必要がありますので、計画は素晴らしい取り組みだと思いますし、その戦略が実際に動き出すところを見るのが待ち遠しいです。スタートアップは、将来の経済発展の源です。重要なのは、単にスタートアップの数ではなく、世界を舞台に他企業と一線を画すことのできるスタートアップの数なのです。卓越したテクノロジーや素晴らしいアイデアは数多くありますが、いかにそれを産業化し、証明し、世界レベルで展開していくかが鍵を握っています。

シリコンバレーのスタートアップのエコシステムはひとつだけではありません。私たちは、より多くのスタートアップを迎え入れ、ここ欧州で成長させていけるようにサポートしたいと考えています。

SINEORA
ビバテック2023