東洋経済は、「工場が消える」と題した3月26日号の巻頭で、ENEOSホールディングスの和歌山製油所の閉鎖を伝え、国内生産を待ち構える危機を示した。周辺の住人などあらゆる人々にとって、それは単に時間の問題だったが、とはいえ、同地方の雇用の90%が製油所関連であるため、衝撃は明らかだった。

日本では、リストラと企業の再編が加速している。同誌は製油や自動車、金属業などを例に挙げたが、海運業などといった他業界も同様に危機的な状況だ。 1990年のバブル崩壊、それに続く円高、2008年の金融危機、そして2011年には東日本大震災と、日本は長年にわたる不況に悩まされた。アベノミクスによってダメージは限定的になったものの、脱炭素化をきっかけに工場閉鎖が再び加速した。とりわけ影響を受けるのは地域経済だ。

実際、日本は製造業に頼っており、国内総生産(GDP)の20%近くを占めている。先進国の間では、中国(GDP比26%)、ドイツ(GPD比20%)に続き3位だ。ちなみに、米国では製造業がGDPに占める割合は 11%に過ぎない。同国では、製造業の報酬の方が平均的に他業界よりも高いため、製造業界における職は非常に貴重なものになっている。

東洋経済は、今日の製造業に関して、主要な6つの問題点(本文では「六重苦」と表現)を指摘している。まず、円安と原材料費・燃料費の高騰、そして、世界的な産業の囲い込みも指摘されている。また、諸外国と協力協定を締結した結果、経済安全保障上の要求に起因する圧力に晒されている。 さらに高齢化による人手不足にも悩まされている。また、カーボンニュートラルを求められることにより、企業は難しい状況に置かれている。さらには、日本はエネルギー移行でも遅れをとっている。これまでの製造業の歴史に鑑みると、これらの問題は避けては通れないものといえる。工場が消えることは、日本にとって、社会を根本的に変えるきっかけとなるのだろうか?

出典:東洋経済3月26日号 50-53ページ

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