この記事は、在日フランス商工会議所(CCIFJ)によって編集、翻訳された、東洋経済誌の記事です。

今週の東洋経済は、「経済で読み解く現代社会」で、労働時間と生産性の関連性を取り上げる。登場する専門家は、早稲田大学の二人の研究者、上官若氏と大湾秀雄氏。二人の発表は、先進国の中で日本の労働時間が最も長いとの指摘から始まる。

最近は減少傾向にあるものの、国際労働機関の数字によると、週に49時間以上働く日本人は18%以上。これに対し、例えばEUではだいたい6%から11%だ。

日本企業は、社員の労働時間を減らさないようにするための口実として、競争力を失うことへの恐れを口にする。しかしながら、研究によると、生産性が最も高いのは、週に49時間を超えない場合という。週に49時間から60時間の間では、1時間増えるごとに社員の効率性は下がり、60時間を超えると、非生産的になる。

もちろん、過剰な労働時間と社員の集中力低下のつながりは明らかだ。一方、あまり気づかれにくいものの、ストレスと健康リスクもまた、過剰な労働時間の結果生じている。調査対象者を見ると、がんや高血圧、関節炎の発症リスクが増えているのがわかる。 筆者らによると、問題は肉体面だけではなく、労働者の精神面への影響も懸念されている。日本では、ホワイトカラーの労働者における精神状態の悪化は、超過労働時間、なかでも週末の労働と明らかに結びついている。一方、ブルーカラー労働者の間では、夜間の超過労働が精神衛生上のリスクに影響を及ぼしている。 コロナ禍によって在宅勤務が増え、結果として全体的に労働時間が減った。筆者らはこの記事を、「Never let a good crisis go to waste(良い危機を無駄にするな)」(ウィンストン・チャーチル元英首相の名言)で結んでいる。コロナ禍は日本における労働環境をより良くするためのきっかけとなるかもしれない、と。

出典:東洋経済(2月26日号、P.86-87)

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